Item
XX DEVELOPMENT SURE'S ANORAK 2
SURE'S ANORAK 2
最初のアノラックがアノラック過ぎて、2度目のアノラックはもっとうまく作ると心に決めていた。
言ってしまえば、マイナーなプロダクトがカスタムされた、世界に1着だけのビンテージにグッドストーリーを感じて、素材を探していたら、少しの違いが大きな違いになる気がして、だんだん後に引けなくなって... とにかく夢中で作ったけど、完成までにとても時間が必要だった。次の季節が始まろうとしていたけど、最初のアノラックはソールドした。みんなに「似合うのか?」よりも、期待に「見合うのか?」を優先したのが、通じて嬉しかった。みんな、僕たちと一緒で、ANORACKS だったんだね。
もっとうまく作りたい。いつもそう思っていて、生地の追加オーダーを入れた。
きっとまだ、世界中には ANORACKS がいるはずだ...
*スリフトレッドとインクブラックはもう作らない。追加は無いですか?ってたくさんリクエストをもらったけど、最初にオーダーをくれた、ファーストアノラックスに対しての敬意をこめて、新しいカラーにしよう。 もしも、ファーストアノラックスもしびれる新色になったら、大成功だね。笑
NASVY ANORACK
元々US NAVYのアイテムだけあって、絶対良いだろうと思っていたけど、なんなら、当時からこんなカラーもあったんじゃ無いか?ってくらいのナイスな仕上がりになりました。 最初のNAS感は少し抑えて、ROYALな感じで。ALASKAみたいに、SUNFADEしたらNICE NASVYになるかな...もしも、USから注文が入ったりしたら、US NASVYが完成するんだけどな... 笑
LEMONY ANORACK
視認性を高めるためには、甘いレモンじゃだめだ。
酸素ボンベとマスクを想定しているプロダクトは稀だ。ヘリテージな要素と、僕たちの日常がミックスされるのが面白い。どこか、マリンな感じがする。レモニーと僕が日差しで焼けて、レモニーはいい感じに薄くなって、僕は少し濃くなったりして。あぁ、きっといい感じだ。
AS FABRIC FADES, THE DETAILS LAST
ザックリとしたサイズ感がナイスで、軽いアウターとして活躍してくれると思う。洗濯もドンドンしてもらってOK。 どちらのカラーも少しフェードしたくらいがナイスだと思うし、そのほうが、僕たちが追いかけた、ディテールが浮き上がってくると思うんだ。
*以下、前作のポエムが秀逸なので、2025年版に少し改定してお届けします。笑
アノラックストーリー
サルベージパーカーは簡素な作りだった。サープラス品として市場に出ると、誰かのアイデアで染められ、本来の役目を超えて自由になった。お気に入りだったから捨てたりはしない。きっとこの価値が判る人が居るはずだと思ってスリフトに出した。古着屋のケンが見つけたんだ。最初のオーナーはセンスが通じてきっと喜んでいる。だけど、彼女のエミリーがぶっ飛んでいた。
I have a good idea!
思い切ってアノラックの真ん中を斬った。
イケてない革ジャンからジッパーを取り出すと、見事取り付けてみせた。
アノラックの扉が開いた瞬間だ。
Ohh, Freedom♡
幸運にも僕はそんなビンテージを手に入れた。
このアノラックが辿ったストーリーを再現してみたいと思ったんだ。
アノラックマインド 1
先ずは生地を手に入れなければ...
だけど、どう探したって見つからない。
20のツイルって言えば、業界ではすぐに見つかる。はずだったんだけど、何かが違う。
綾だ。綾の角度が違う!
ビンテージの生地を分析すると、経(タテ)糸は16番手。緯(ヨコ)糸は10番手でした。共に単糸です。 単糸でツイルを作る場合、左上りに織るのがスタンダード。気になっていた綾の角度は経糸の密度で変わるって教えてもらった。糸はコットンを伸ばして撚って作るもの。それで洋服を作ったら、縮んで捻れるんだ。そんな服今時無いやん!って方には、是非最後まで読んで欲しいです。
アノラックマインド 2
物理的にそうなるものを消費者目線でアップデートすることはきっと正しい。 だけど、それは素材そのものを知る機会を奪い、言葉通りただの消費者を生むことになる。 現代から見れば、少しユルイ作り方に寛容だった時代。作る人も着る人も似たような生活をしていたからだと思う。
今僕たちはインターネットを使って、みんなとマニアックな話も共有することができる。
ただ、綾の角度が違うだけなんだけど、これはあの時代の距離感と今僕たちの距離感を同じにするために重要なんだ。 だから、SURE1610TWILL を作る意味はそこにあると思ったの。
生地が出来たら次は付属(パーツのお話)
エミリーが付けた"WALDES"のジッパー。現在は日本で作られていて、とても似たものを手に入れることが出来た。
No5のカムロック式。ファスナーテープはコットンで、これが後々効いてくる。
そして、コードとテープ ...やっぱりそうだった。
ミルスペックはここに沼がある。まんまとハマりました。裾やフードのコードはどうにか手に入れることが出来た。
だけど、肩から垂れる平織りのテープ。これも日本には無かった。杉綾になっているものがレギュラーなんだ。
きっとネジレ防止とかの観点だと思う。それで、テープ屋さんに電話したの。
”片流れを作っていただけませんか?”
”うーん、OK”
そんなとこ、誰か気にしてる? ...それはそうかも?と思ったんだけど。 だけどもう、僕はすでにアノラックがアノラックしてる。笑 ただ、あまりにもマニアックなリクエスト故、糸使いについては現在のセッティングのままでOKという紳士的なオーダーにしました。それにしても、頼んだらできちゃう日本の環境は奇跡的だと思います。
アノラックマインド 3
ようやく資材がそろいました。
おそらく何度も洗濯されたビンテージから、図ることは難しいのですが、縫い代の様子から想像するに、これはキバタのまま縫製したんじゃないか?とイメージすることができました。”つかいすて” のサルベージパーカー本来の役目からしても、合点がいきます。
ということでSURE1610 TWILL をキバタで使用することにしました。キバタというのは生地を織りあげたまま。ということを意味します。カラーもホワイトではなく、キナリです。生地、付属すべてを生成りで揃え、縫いあがったら、糊を落として染めよう。最後にジッパーを付けて完成です。
これが、ビンテージにいちばん近いストーリー。
通常に仕上がった生地を使えば3%程度の縮みですが、キバタの場合10%を超えます。今回はナント14%でした。
着丈が2センチ縮むところが、8センチ縮みます。ファスナーも縮みが出るので少し長いものをオーダーします。
僕たちはこの縮率をうまくコントロールする自信がありましたが、”なっちゃった”ものを狙って再現するのは、あまりに変態的アプローチです。
アノラックマインド 4
ラッキーなことにビンテージがグッドバランスです。出来上がりはこのままのバランスになるように縮率を設定します。 サイズは 2 (M) の表記ですが、もともとアノラックなので大きく作られていたんだと思います。 スウェットの上から着てもOKなザックリサイズです。それで、そのわりに着丈はそんなに長くないのです。 キバタだったから縮んだんでしょ?も一理ありますが、長い個体も多いなかで、このバランスはとてもナイスです。
そしてサルベージパーカーの最大の特徴は、このフードです。
ヘルメットやマスクをしても被れるようにした設計でしょう。とてもユニークです。
もちろんこのまま再現することにしましたが、正直、コーンヘッドの様にイケてはいません。笑
本来、洋服というものは手に入れさえすれば、かっこよくなれる。というものではありません。
周りの様子をうかがいながら、楽しむようにしましょう。
とにかく、このフードには注意が必要です。
ガーメントダイ
サンフェードしたビンテージがとにかく魅力的だった。シロティーにだって、デニムにだって。 USNのルーツを意識しながら、アノラック2はレモニーとナスビーに決めました。将来、フェード感が出てきたときに、ビンテージそっくりな質感になるように期待しています。
サイズ選び
サルベージパーカーは元々ザックリした感じが魅力的。
ジッパーもあるし、シーズン問わずに活躍してくれると思います。 肝心のサイズ選びはワンサイズダウンがオススメ。って前作は言っていたけれど、少しマニアックチョイス。オーサムスウェットがLサイズだったら、L サイズがスタンダードでオススメです。
アノラックマン、アノラック
このフレーズはアメリカの友人に教えてもらいました。
どうやら、夢中になってしまった人 という意味です。1着のビンテージとの出会いから、
こんなに面白いストリーが生まれました。資材手配を進めるうちに、後には引けずに気付いたら夢中でした。
xxdevelopmentがミルスペックに挑戦。皆さんにはあまりなじみがないかもしれませんが、
肝心の洋服はスペシャルな出来になるはずです。是非裏返して確認してください。笑
最初のアノラックがアノラック過ぎて、2度目のアノラックはもっとうまく作ると心に決めていた。
言ってしまえば、マイナーなプロダクトがカスタムされた、世界に1着だけのビンテージにグッドストーリーを感じて、素材を探していたら、少しの違いが大きな違いになる気がして、だんだん後に引けなくなって... とにかく夢中で作ったけど、完成までにとても時間が必要だった。次の季節が始まろうとしていたけど、最初のアノラックはソールドした。みんなに「似合うのか?」よりも、期待に「見合うのか?」を優先したのが、通じて嬉しかった。みんな、僕たちと一緒で、ANORACKS だったんだね。
もっとうまく作りたい。いつもそう思っていて、生地の追加オーダーを入れた。
きっとまだ、世界中には ANORACKS がいるはずだ...
*スリフトレッドとインクブラックはもう作らない。追加は無いですか?ってたくさんリクエストをもらったけど、最初にオーダーをくれた、ファーストアノラックスに対しての敬意をこめて、新しいカラーにしよう。 もしも、ファーストアノラックスもしびれる新色になったら、大成功だね。笑
NASVY ANORACK
元々US NAVYのアイテムだけあって、絶対良いだろうと思っていたけど、なんなら、当時からこんなカラーもあったんじゃ無いか?ってくらいのナイスな仕上がりになりました。 最初のNAS感は少し抑えて、ROYALな感じで。ALASKAみたいに、SUNFADEしたらNICE NASVYになるかな...もしも、USから注文が入ったりしたら、US NASVYが完成するんだけどな... 笑
LEMONY ANORACK
視認性を高めるためには、甘いレモンじゃだめだ。
酸素ボンベとマスクを想定しているプロダクトは稀だ。ヘリテージな要素と、僕たちの日常がミックスされるのが面白い。どこか、マリンな感じがする。レモニーと僕が日差しで焼けて、レモニーはいい感じに薄くなって、僕は少し濃くなったりして。あぁ、きっといい感じだ。
AS FABRIC FADES, THE DETAILS LAST
ザックリとしたサイズ感がナイスで、軽いアウターとして活躍してくれると思う。洗濯もドンドンしてもらってOK。 どちらのカラーも少しフェードしたくらいがナイスだと思うし、そのほうが、僕たちが追いかけた、ディテールが浮き上がってくると思うんだ。
*以下、前作のポエムが秀逸なので、2025年版に少し改定してお届けします。笑
アノラックストーリー
サルベージパーカーは簡素な作りだった。サープラス品として市場に出ると、誰かのアイデアで染められ、本来の役目を超えて自由になった。お気に入りだったから捨てたりはしない。きっとこの価値が判る人が居るはずだと思ってスリフトに出した。古着屋のケンが見つけたんだ。最初のオーナーはセンスが通じてきっと喜んでいる。だけど、彼女のエミリーがぶっ飛んでいた。
I have a good idea!
思い切ってアノラックの真ん中を斬った。
イケてない革ジャンからジッパーを取り出すと、見事取り付けてみせた。
アノラックの扉が開いた瞬間だ。
Ohh, Freedom♡
幸運にも僕はそんなビンテージを手に入れた。
このアノラックが辿ったストーリーを再現してみたいと思ったんだ。
アノラックマインド 1
先ずは生地を手に入れなければ...
だけど、どう探したって見つからない。
20のツイルって言えば、業界ではすぐに見つかる。はずだったんだけど、何かが違う。
綾だ。綾の角度が違う!
ビンテージの生地を分析すると、経(タテ)糸は16番手。緯(ヨコ)糸は10番手でした。共に単糸です。 単糸でツイルを作る場合、左上りに織るのがスタンダード。気になっていた綾の角度は経糸の密度で変わるって教えてもらった。糸はコットンを伸ばして撚って作るもの。それで洋服を作ったら、縮んで捻れるんだ。そんな服今時無いやん!って方には、是非最後まで読んで欲しいです。
アノラックマインド 2
物理的にそうなるものを消費者目線でアップデートすることはきっと正しい。 だけど、それは素材そのものを知る機会を奪い、言葉通りただの消費者を生むことになる。 現代から見れば、少しユルイ作り方に寛容だった時代。作る人も着る人も似たような生活をしていたからだと思う。
今僕たちはインターネットを使って、みんなとマニアックな話も共有することができる。
ただ、綾の角度が違うだけなんだけど、これはあの時代の距離感と今僕たちの距離感を同じにするために重要なんだ。 だから、SURE1610TWILL を作る意味はそこにあると思ったの。
生地が出来たら次は付属(パーツのお話)
エミリーが付けた"WALDES"のジッパー。現在は日本で作られていて、とても似たものを手に入れることが出来た。
No5のカムロック式。ファスナーテープはコットンで、これが後々効いてくる。
そして、コードとテープ ...やっぱりそうだった。
ミルスペックはここに沼がある。まんまとハマりました。裾やフードのコードはどうにか手に入れることが出来た。
だけど、肩から垂れる平織りのテープ。これも日本には無かった。杉綾になっているものがレギュラーなんだ。
きっとネジレ防止とかの観点だと思う。それで、テープ屋さんに電話したの。
”片流れを作っていただけませんか?”
”うーん、OK”
そんなとこ、誰か気にしてる? ...それはそうかも?と思ったんだけど。 だけどもう、僕はすでにアノラックがアノラックしてる。笑 ただ、あまりにもマニアックなリクエスト故、糸使いについては現在のセッティングのままでOKという紳士的なオーダーにしました。それにしても、頼んだらできちゃう日本の環境は奇跡的だと思います。
アノラックマインド 3
ようやく資材がそろいました。
おそらく何度も洗濯されたビンテージから、図ることは難しいのですが、縫い代の様子から想像するに、これはキバタのまま縫製したんじゃないか?とイメージすることができました。”つかいすて” のサルベージパーカー本来の役目からしても、合点がいきます。
ということでSURE1610 TWILL をキバタで使用することにしました。キバタというのは生地を織りあげたまま。ということを意味します。カラーもホワイトではなく、キナリです。生地、付属すべてを生成りで揃え、縫いあがったら、糊を落として染めよう。最後にジッパーを付けて完成です。
これが、ビンテージにいちばん近いストーリー。
通常に仕上がった生地を使えば3%程度の縮みですが、キバタの場合10%を超えます。今回はナント14%でした。
着丈が2センチ縮むところが、8センチ縮みます。ファスナーも縮みが出るので少し長いものをオーダーします。
僕たちはこの縮率をうまくコントロールする自信がありましたが、”なっちゃった”ものを狙って再現するのは、あまりに変態的アプローチです。
アノラックマインド 4
ラッキーなことにビンテージがグッドバランスです。出来上がりはこのままのバランスになるように縮率を設定します。 サイズは 2 (M) の表記ですが、もともとアノラックなので大きく作られていたんだと思います。 スウェットの上から着てもOKなザックリサイズです。それで、そのわりに着丈はそんなに長くないのです。 キバタだったから縮んだんでしょ?も一理ありますが、長い個体も多いなかで、このバランスはとてもナイスです。
そしてサルベージパーカーの最大の特徴は、このフードです。
ヘルメットやマスクをしても被れるようにした設計でしょう。とてもユニークです。
もちろんこのまま再現することにしましたが、正直、コーンヘッドの様にイケてはいません。笑
本来、洋服というものは手に入れさえすれば、かっこよくなれる。というものではありません。
周りの様子をうかがいながら、楽しむようにしましょう。
とにかく、このフードには注意が必要です。
ガーメントダイ
サンフェードしたビンテージがとにかく魅力的だった。シロティーにだって、デニムにだって。 USNのルーツを意識しながら、アノラック2はレモニーとナスビーに決めました。将来、フェード感が出てきたときに、ビンテージそっくりな質感になるように期待しています。
サイズ選び
サルベージパーカーは元々ザックリした感じが魅力的。
ジッパーもあるし、シーズン問わずに活躍してくれると思います。 肝心のサイズ選びはワンサイズダウンがオススメ。って前作は言っていたけれど、少しマニアックチョイス。オーサムスウェットがLサイズだったら、L サイズがスタンダードでオススメです。
アノラックマン、アノラック
このフレーズはアメリカの友人に教えてもらいました。
どうやら、夢中になってしまった人 という意味です。1着のビンテージとの出会いから、
こんなに面白いストリーが生まれました。資材手配を進めるうちに、後には引けずに気付いたら夢中でした。
xxdevelopmentがミルスペックに挑戦。皆さんにはあまりなじみがないかもしれませんが、
肝心の洋服はスペシャルな出来になるはずです。是非裏返して確認してください。笑
